漫画『コウノドリ』の作者・鈴ノ木ユウさんが語る〝NICUの忘れられない光景〟と〝医師の言葉〟 完結後も感じる影響力

妊娠・出産の現実を描いた人気漫画『コウノドリ』。2022年に完結後もCMキャラクターに起用されたり、こども家庭庁のサイトに漫画が掲載されたりしています。作者の鈴ノ木ユウさんにとって、『コウノドリ』はどのような存在なのでしょうか。印象に残っている医療現場の光景やいまも感じる作品の影響力、早産児の家族へのメッセージを聞きました。
河原夏季 2025.11.22
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「僕が描かなきゃ」勘違いから始まった

『コウノドリ』は、産科医でピアニストの鴻鳥(こうのとり)サクラを中心に、医療従事者が赤ちゃんと家族を支える姿や妊婦の葛藤、緊迫した命の現場を描く作品です。

早産や未熟児網膜症など、小さく生まれた赤ちゃんやNICU(新生児集中治療室)をテーマにしたエピソードも登場します。

2012年に週刊青年漫画誌「モーニング」(講談社)で短期集中連載が掲載されると大きな反響がありました。翌年から2020年まで連載し、その後、「コウノドリ 新型コロナウイルス編」を経て2022年に完結。綾野剛さん主演で2度テレビドラマ化(TBSテレビ系)もされました。

漫画『コウノドリ』。1巻には切迫早産のエピソードが描かれています

漫画『コウノドリ』。1巻には切迫早産のエピソードが描かれています

原作者で漫画家の鈴ノ木ユウさんが『コウノドリ』を描いたのは、妻の幼なじみの産科医に医療現場の話を聞いたことがきっかけでした。

妊娠中に一度も健診を受けない妊婦、新生児を病院に残して失踪する親、重い障害のある赤ちゃんの面会に来なくなった両親……。

当時3歳の長男を育てていた鈴ノ木さんですが、産科医から聞く話は想像したこともない現実でした。

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続きは、4311文字あります。
  • 白衣を着てNICUを取材
  • 取材をしていなくてもリアルな描写
  • 完結してもなお感じる影響力
  • 早産を経験したご家族へ

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