「その見た目でフランス語を話せないのかよ!」 笑いのネタにされた友人を助けられなかった後悔

みなさん、こんにちは。日中両国のルーツを持つ朝日新聞記者の小川尭洋です。過去2回のニュースレターでは、無意識の差別「マイクロアグレッション」を紹介してきました。今回は、今から10年以上前、私がそういった概念を知らなかったころの出来事を、反省とともに振り返ります。
朝日新聞 theLetter 2025.03.01
読者限定

「フランス語は『ボンジュール』くらいしか話せません!」

「その見た目で話せないのかよ!」

それは2014年春、ある飲み会の席。そのやりとりを聞いて、どっと笑いが起きました。

その20代の友人の女性はフランス人と日本人の両親がいて、顔立ちからも欧米のルーツであることが想像できます。

しかし、周囲の人々は、彼女がフランス語を話せないと知っていても、あえて「フランス語は話せるの?」と質問し、彼女が「話せません」と答えてツッコミをするのが定番の流れとなっていたのです。

彼女はその輪の中でいつも笑顔…のように見えていました。

この記事は無料で続きを読めます

続きは、2301文字あります。
  • 日本でもBLM運動の盛り上がり
  • ステレオタイプなハーフ像
  • 小川尭洋(おがわ・たかひろ)

すでに登録された方はこちら

読者限定
海外ルーツの小学生、休み時間に運動遊びしづらい? 「校内のバリア」がア...
読者限定
28週1730gで生まれた陸上・山縣亮太選手「外で遊ぶのが大好きで、元...
読者限定
「障害って何?」〝命の授業〟で子どもたちの答えが変化 「普通じゃない」...
読者限定
31週900gで生まれた大学生 「小さく生まれてもここまで成長できたこ...
読者限定
「見た目が日本人らしくない」ハリウッドでも続いた悪意なき差別 天然パー...
読者限定
ひとりで「授乳室」に入る母親、その理由は…少しずつ広がっている〝搾乳〟...
読者限定
小さく生まれた赤ちゃんを救う「母乳バンク」 利用した家族「『助けてくだ...
読者限定
「生きてるだけで幸せなのかな…」打ち明けられなかった後期早産の悩み 妊...